F.A.SS -
「鋼の錬金術師」の二次創作
【基本のエドロイSS】 -
原作をベースにした、エドロイSSです。
時系列順に並んでいます。
(下に行くほど後の出来事になります。)
誰がために - (まだロイの片想い)08.06.25up
- (両想いでもお互い気付かない)08.6.26up
水の中の月 - (告白)08.6.29up
- 08.6.30up
- (初めての触れ合い。大佐が咥えるのみ)08.7.1up
- (初体験)08.7.11up
蹟(しるし) - (大佐から初めてのキスマーク) 08.7.16up
シチュー - (大佐が熱を出さなくなったあたり)08.7.16up
- (大佐が壊れてます。ちょっとギャグ)08.7.22up
フソク - (豆がいないと闇がぶり返す大佐)08.7.22up
摂取 - (「フソク」の続き。相変わらず闇に囚われている大佐と帰ってきた豆)
08.7.22up
Turn R
Turn E
幕間 - (ごめんなさいなギャグ)
08.8.8up
- (ヤってるときのエドVer. 「虚」と対になってます。)
08.8.8up
- (ヤってるときのロイVer. 「彩」と対になってます。)
08.8.8up
- (「虚」の続き。どーしようもなくグダグダなロイ)
08.8.8up
- (兄さんと酔ってご機嫌の大佐。未然ジェラシー)08.10.25up
- (鬼畜い兄さん♪後、ヘタレ)08.10.25up
【遊 シリーズ】 -
パラレル。税務署長のロイと税理士のエド。

このSSは途中からRPG方式で、「遊」(ロイエドVer.)と「遊 脇道」(エドロイVer.)に枝分かれします。
但し、「遊 脇道」は「遊」本編と「遊 番外編」数本を包括した入れ籠構造になっておりますので、
「遊」→「遊 番外編」→「遊 脇道」の順に読まれることをお奨めします。
その順番にupして行きます。

「遊」vol.1〜vol.9 - 「遊」「遊 脇道」とも枝分かれするまで共通です。
「遊」vol.1 - 08.11.12up
「遊」vol.2 - 08.11.12up
「遊」vol.3 - 08.11.13up
「遊」vol.4 - 08.11.13up
「遊」vol.5 - 08.11.13up
「遊」vol.6 - 08.11.16up
「遊」vol.7 - 08.11.16up
「遊」vol.8 - 08.11.16up
「遊」vol.9 - 08.11.16up
「遊」 Vol.10以降(ロイエドVer.) -
ロイエドがお嫌いな方も、これはこの後のエドロイver.がこの「遊」のロイエドバージョンを含んだものですので、お読み戴ければ幸いと存じます。

「遊」vol.10 - 08.11.19up
「遊」vol.11 - 08.11.19up
「遊」vol.12 - 08.11.19up
「遊」vol.13 - 08.11.19up
「遊」vol.14 - 08.12.7up
「遊」vol.15 - 08.12.7up
「遊」vol.16 - 08.12.7up
「遊」vol.17 - 08.12.7up
「遊」vol.18 - 08.12.7up
「遊」vol.19 - 08.12.7up
「遊」vol.20 - 08.12.7up
「遊」vol.21 - 08.12.12up
「遊」vol.22 - 08.12.12up
「遊」vol.23 - 08.12.12up
「遊」vol.24 - 08.12.12up
「遊」vol.25 - 08.12.12up
「遊」vol.26 - 08.12.12up
「遊」vol.27 - 08.12.12up
「遊」vol.28 - 08.12.12up
「遊」vol.29 - 08.12.12up
「遊」vol.30 - 08.12.12up
「遊」vol.31 - 08.12.16up
「遊」vol.32 - 08.12.16up
「遊」vol.33 - 08.12.16up
「遊」vol.34 - 08.12.16up
「遊」vol.35 - 08.12.17up
「遊」vol.36 - 08.12.17up
「遊」vol.37 - 08.12.17up
「遊」vol.38 (これで完結です) - 08.12.17up
「幻」 (「遊」 番外編)(エドロイ) - 08.12.17up - (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。ロイVer.)
「惑」 (「遊」 番外編)(エドロイ) - 08.12.17up - (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。エドVer.)
「遊 脇道」(エドロイVer.) - 「遊」Vol.10以降
こちらはエドロイバージョンのうえ、ロイが精神的に壊れてしまっています。
しかも暗いです。
弱いロイが厭だという方はお読みならないで下さい。
「遊 脇道」Act.1 - 08.12.17up
「遊 脇道」Act.2 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.3 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.4 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.5 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.6 - 08.12.19up
「遊 脇道」Act.7 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.8 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.9 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.10 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.11 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.12 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.13 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.14 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.15 - 08.12.21up
「遊 脇道」Act.16 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.17 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.18 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.19 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.20 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.21 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.22 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.23 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.24 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.25 - 08.12.23up
「遊 脇道」Act.26 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.27 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.28 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.29 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.30 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.31 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.32 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.33 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.34 - 08.12.24up
「遊 脇道」Act.35 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.36 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.37 - 08.12.26up
「遊 脇道」Act.38(とりあえず完結ですが、「澱」へ続きます) - 08.12.26up
「澱」 (「遊 脇道」完結話) - 08.12.26up - (「脇道」のロイVer. これで「脇道」の本編は終わりになります)
「寥」 (「遊 脇道」 番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (「幻」の割愛部分)
「仕」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (駅前相談するセンセイ)
「誤」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (ある日税務調査が…)
「加」 (「遊」番外編 エドロイでもどっちでも) - 09.1.7up - (本編に入れ忘れた生協の小ネタ)
「罪」 (「遊 脇道」番外編) - 09.1.7up - (そして今2人は)
「問」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 09.1.7up - (そして今2人はその2)
「策」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ) - 16.12.29up - (あの夜の男は)
【その他 ロイ受】
「戯」 (ブラロイ) - 09.1.7up - (ロイにホムンクルスと知られ、別れを告げるブラッドレイ)
「蓮」 (キンロイ) - 09.1.7up - (イシュヴァールにて。意外にほのぼのかと…。)
「痴」 (エドロイ)(単発) - 09.1.7up - (淫乱ロイの純情)
「羞」 (エドロイ前提ハボロイ)(「痴」シリーズ?) - 09.1.7up - (「痴」の続編。エドを愛しているロイだが、ハボに…。いや、ハボは被害者なのですが。)
- 上下につながりはありません
「紅」 (エドロイ) - 09.1.7up - (久しぶりに司令部に来た兄さん)
【単発 ロイエド】 - (焦れたロイにレイプされるエド。18禁のレイプものですんで、ご注意下さい)
「赦」 Act.1 - 09.1.7up
「赦」 Act.2 - 09.1.7up
【単発 ハボロイ】
「憂」 - 14.10.16.up - (ロイとハボックの阿呆らしいすれ違い)
「今更」 - 09.1.7up - (自分の想いに気付くロイ)
「蜜」 - 09.1.7up - (恋人になった後。エロシーンばっか)
「背」 - 09.1.7up - (ハボの背中に惹かれるロイ)
【「錯」シリーズ】 - ハボロイオンリーです。
イシュヴァールでの経験がロイに与えたものは…。
- 今はなき某数字SNSで、2007年9月から書いていたものです。
「錯」 Act.1 - 09.1.7up
「錯」 Act.2 - 09.1.7up
「錯」 Act.3 - 09.1.11up
「錯」 Act.4 - 09.1.11up
「錯」 Act.5 - 09.1.12up
「錯」 Act.6 - 09.1.16up
「錯」 Act.7 - 09.1.16up
「錯」 Act.8 - 09.1.17up
「錯」 Act.9 - 09.1.17up
「錯」 Act.10 - 09.1.18up
「錯」 Act.11 - 09.1.20up
「錯」 Act.12 - 09.1.21up
「錯」 Act.13 - 09.1.24up
「錯」 Act.14 - 09.1.27up
「錯」 Act.15 - 09.1.29up
「錯」 Act.16 - 09.2.1up
「錯」 Act.17 - 09.2.6up
「錯」 Act.18 - 09.2.12up
「錯」 Act.19 - 09.2.15up
「錯」 Act.20 - 09.2.20up
「錯」 Act.21 - 09.2.26up
「錯」 Act.22 - 09.3.9up
「錯」 Act.23 - 09.3.13up
「錯」 Act.24 - 09.3.20up
「錯」 Act.25 - 09.3.26up
「錯」 Act.26 - 09.4.7up
「錯」 Act.27 - 09.4.21up
「錯」 Act.28 - 09.5.6up
「錯」 Act.29 - 13.5.21up
「錯」 Act.30 - 13.5.22up
「錯」 Act.31 - 13.5.23up
「錯」 Act.32 - 13.5.26up
「錯」 Act.33 - 13.5.31up
「錯」 Act.34 - 13.6.2up
「錯」 Act.35 - 13.6.17up
「錯」 Act.36 - 13.6.19up
「錯」 Act.37 - 13.6.26up
「錯」 Act.38 - 13.7.11up
「錯」 Act.39 - 13.7.14up
「錯」 Act.40 - 13.7.19up
「錯」 Act.41 - 13.7.27up
「錯」 Act.42 - 13.8.13up
「錯」 Act.43 - 13.11.22up
「錯」 Act.44 (完結) - 13.11.26up
「聴」 (『錯』番外編) - 最終話後、ツケを支払に行くロイ。
Vol.1 - 17.1.7up
Vol.2 - 17.1.7up
【瑠】シリーズ - 【注意書きです】
これはいつものロイエドロイと、また原作とも異なるパラレルのロイエドロイSSです。
(すみません!最初間違えて『ロイエド』と書いてましたが、ロイエドロイです。)
原作またはアニメ設定以外受け容れないと言う方はお読みにならないで下さい。
最初は「人魚」のタイトルでしたが、後に「瑠」にしました。
「瑠」 Act.1 - 16.12.30up
「瑠」 Act.2 - 17.1.1up
「瑠」 Act.3 - 17.1.3up
「瑠」 Act.4 - 17.1.11up
Gift - 頂き物など
取調室にて -
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
give me more -
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
> 【遊 シリーズ】 > 「遊 脇道」(エドロイVer.) > 「遊 脇道」Act.14
「遊 脇道」Act.14
08.12.21up
「スーツ、汚れちまったな。」
男が果てたまま抱き合ったせいで2人ともスーツが汚れてしまった。
「クリーニングに出せばいい。」
軽く男は言う。
「や、そうなんだけどさ。
 これってちょっと恥ずかしくねぇか?」
男2人分のスーツの汚れた位置とその原因。

「…。」
無言でその跡を見つめてどちらともなく吹き出した。
「いや、クリーニング屋は気にしないだろう?」
まだ笑いが収まらないまま男が言う。
「店員が腐女子だったらどうすんだよ?
 ウィンリィ達みたいに妄想膨らませられたらオレ、もうその店使えないぜ?」

「ではもっと恥ずかしい汚れを付けようではないか。センセイ?」
言うや男はオレの首に腕を廻してキスしてきた。
ああ、ソファーのカバーも洗わなきゃな。
そんなことを考えながら男と舌を絡め合っていた。

「センセイ…抱いて欲しい。」
ソファに押し倒されていた男が囁く。
「ダメだ。あんた明日も仕事だろ?」
抱いてしまえばきっとまた熱を出すだろう。
オレだって抱きたいけど、無理をさせるわけにはいかない。

「…休む。」
「バカ。仕事納めに署長が行かなくてどうすんだよ?」
全くこの大人は。
「だいたいあんた、まだ感じないだろ?
 あんなにつらかったクセになんでまた抱かれたいって思えるんだ?」
そもそも抱かれたいと言った人間の反応じゃなかったよな。
痛がるわ、吐くわ、熱を出すわ。
いや、無理も無いとは思うけど。
…もう抱かれたくないと言われたら哀しいけど。

「抱かれなければ慣れることも出来ないじゃないか。」
「まあそうだけどさ。今日はダメ!」
「どうしても?」
うわ。甘えた視線で見るな!
あんたが色っぽい顔するとたまんないんだから!
さっきだってすんげぇ煽られて危なかったんだぞ!?

「どうしても!
 あんたに無理させらんねぇ!
 明日熱なんか出させたら、オレがホークアイさんに殺されちまう。」
ぷい、と子供のように拗ねて横を向く顔がまたたまらなくかわいい。
仕方がない。

抱くわけにはいかないが
「な、風呂入ってベッド行こ?
 あんたの好きなトコ、どこでもキスしてやるから。」
(オレのとっておきの口説き文句だ。
 ま、歌のパクリなんだけどな。)
耳元に囁くと男の顔が朱に染まった。
「一緒に入ってくれるか?」
まだ顔を逸らしたまま男が言う。

あー、うー。
暗いベッドやソファ(リビングも今は灯りを落としたままだ。)なら平気なんだけど、オレは明るい浴室に他人と一緒ってのはどうも照れちまう。
実はオンナノコと一緒に風呂ってのも、ガキの頃ウィンリィと入ったくらいだ。
いや、銭湯とかは平気なんだけど。
どうもこれからイタす相手と風呂に入るのが苦手だ。
そうだよ。ガキなんだよ!
リードしなきゃなんない立場としては、その前に緊張しちまってるのがバレるのは恥ずかしいんだよ!

「風呂は別々にしよ?」
「どうして?」
だーかーらー。
好きなヤツの前では余裕でいたいの!
「どうしても。
 な、かわいがってやるから、風呂入って来いよ。」
こんなところでムダに余裕カマしたフリしてどうすんの?オレ!?
とも思うが、例えこいつの方がずっと大人で経験があってもこいつはオレのかわいい人だ。
「ん…。」
顔を紅くしたまま素直に男は浴室へ行った。
「はー。」
思わず安堵の溜め息をついてしまった。
いつまで誤魔化しきれるんだろう。これ。


男の後に風呂に入ってベッドに潜り込む。
すぐに男の腕が絡みついてきた。
「センセイ…。」
「ん?どした?」
優しく男の背中を撫でる。
も、オレ余裕大王よ。
心臓バクバクしてっけど。
待て!そんなにくっついたらバレる!
…ま、バレてもこいつならいいんだけどさ。

「…鼓動が激しいな。」
あ、やっぱバレた?
「ん…。あんたに触れてるからな。」
ああ、どこまでも余裕をカマすぜ大王!
ナイス!オレ!
くす、と笑った男にはきっと全部解ってるんだろうけどな。

誤魔化すために男の耳に舌を匍わす。
「な。どこにキスして欲しい?」
こいつは言葉に弱い。
どうしてだか知らないけどオレには解る。
普段は偉そうで口達者なクセに、ベッドでは従順で。
言われるのも、言わされるのにもこいつは羞恥心を煽られて、数等感じるって。
…時折それを平気で上回られることもあるけど。
でもそれはさっきのように羞恥心を無理に押さえてるってことも。
どっかでオレはそれを知ってる。

耳穴に舌先をねじ込んでいると
「全部…躰中…。」
切れ切れの声が聞こえた。
耳朶に軽く歯を立て、ひくりと揺れる躰と漏れる声を楽しみながら
「それじゃ解らない。もっと具体的に言ってくれないとな?」
更に羞恥心を煽ってやる。
ま、こうでもしないとこいつには敵うわけも無いからと言うのもある。
こいつとの経験と年齢の差をどうクリアするかがオレの課題だから。

「ちゃんと順番にどこにキスして欲しいか言ってみ?」
にやりと笑って覗き込むと紅く染まった顔が
「センセ…は意地悪だ。」
かわいい言葉を吐く。
「どうして?あんたがして欲しいようにするって言ってんのに?」
余裕大王、バンザイ!
こいつの言葉にオレのモノがハジけそうになったのはナイショだ!

しばらく黙っている男に余裕を感じていると不意に
「…センセイは男の躰に触れるなんて厭なんだな?」
潤んだ瞳で見つめられる。
は!?
「ナニ言ってんだ?」
内心すげぇ焦ったのを押し殺して言う。
「本当は厭で、私の願いだけ無理に聞いて終わらせるつもりなんだろう?」
泣く?泣くのか!?
「バ…バカ!オレはあんたが欲しくてたまんなくて我慢してるんだぞ!?
 ホントは抱きたいんだけど!
 せめてあんたを感じさせたいと思ってんだよ!」
ああ、余裕大王!どこに行っちゃうんデスカ!?

「本当に?」
見上げる男に逆らえるヤツなんていないってば!
「本当だ!ああもう、煽られてたまんねぇよ。」
「私に触れるのが厭じゃない?」
「イヤどころじゃなくて!もっと触れたい。できればこのまま抱きたいんだって!」
ふ、と笑う声が聞こえた。
「では君の触れたいように触れて欲しいな。」
ああ。余裕大王、負けました。

「あんたさぁ。もちょっとオレに花を持たせようとか考えないわけ?」
溜め息をついてオレは言ってしまう。
ふい、と顔を逸らして男が答える。
「だって…私ばかりセンセイを求めるのは悔しいじゃないか。」
お、まだいけるか?
「オレだってあんたが欲しいって言ってるだろ?
 オレにどうして欲しいか言ってみろよ。」
「だから君のしたいように触れて欲しいと言っている。」
これって平行線?
でもすごく甘い平行線だ。

それでも少し意地を張りたくなった。
もっとこいつに欲しがって貰いたくて。
「ふぅん。じゃあオレ、今日疲れたしもう寝ようかな。」
「な…!?さっき…!」
「さっき、なに?」
「…ふ…触れたいと…。」
余裕大王、カムバーック!
「んでもあんたに無理させたくないしな。明日にしよう。」
男に背を向けて横になる。
これでマジに拗ねられたら怖いなと内心思いながら。

「…。」
しばらく男はオレを見ていたようだが、そのうちオレに背を向けて眠る体勢になったようだ。
ナニも言ってこないのは男のプライドだろう。
この辺で許しを乞わないと本気で怒らせるかも知れない。
素直になれない誇り高い猫にそろそろオレから媚びることにした。

オレは上半身をおこして男の耳元に囁いた。
「ごめん。あんたがあんまりかわいいモンだからいじめたくなった。
 我慢できないんだ。触れてもいいか?」
「疲れているんだろう?」
すげない返事が返ってきた。
「したいように触れろって言ったよな?」
「君は私の望むようにすると言っただろう?私はもう寝る。」
あ、拗ねてる。
…かわいい。

思わず漏れてしまった笑いに男が
「なにが可笑しい!?」
振り返って睨んでくる。
やっぱり腹を立てさせちまったな。
「んっとにあんたはかわいいな。
 明日、抱いてもいいか?」

男は言葉に詰まったようだ。
「抱いてもいいんなら、少し慣らしておきたい。」
サイドチェストから瓶を取り出して目の前に晒して見せると
「口づけて…いつものように耳から触れて欲しい…。」
真っ紅に染まった顔で言う。
「ん。あんたの望むとおりにキスして行くよ。」
思い通りになるんだかならないんだか。
そんなこの黒猫はオレを蕩かせる。

「次は…?」
「あ…膝に…」
「膝だな。」
オレは膝に舌を匍わせて歯を立てる。
それを受けてびくびくと痙攣する男に
「なあ。…次は?」
聞きながら匍わせたオレの手に
「あ…脇腹には触れるな…っ。
 も…センセイの好きに…」
震えながら男が応えた。

「ダメだ。あんたが触れて欲しいところにキスするって言ってるだろ?」
もう限界に近いことを知っていてオレは言葉をねだる。
「これ以上は…厭だ…。」
「もう触れて欲しくないのか?」
「…っ!違!」
全身を隈無く舐められ吸われ、もう男のモノは弾けそうになっている。
それでもそれに触れて欲しいという言葉を吐けない男は焦れている。

これ以上焦らすとまた拗ねそうだ。
身体中が朱に染まってるのが美味しそうでオレもたまらない。
そろそろオレから折れてやるか。
「じゃあオレのしたいようにしていい?」
オレは桃色の瓶に手を掛けた。

「ん…。センセイの好きなように…。」
ほっとしたような声が聞こえたが、液体を絡ませた指が後孔に触れた途端男の躰が跳ねた。
「イヤか?」
先日のつらそうな様子が頭に浮かび、オレも躊躇する。
「厭じゃない!」
とっさに返される声があまりに必死で。

「無理をするな。今日挿れる訳じゃない。
 慣らしたいだけだ。
 イヤなら言えよ?」
男の髪を撫でながら告げる。
「厭じゃない…。」
力無い声が返される。
「ん。そっとするからな。」
キスを一つ唇に落として胸の先を舌で舐りながら、男の後孔に指を差し入れる。
戦慄く躰のあちこちを吸い上げて、感覚を誤魔化しながら根元まで差し込み、キツイ腔中を弄る。

「息を止めるな。」
あまりのきつさに傷を付けそうで怖い。
オレの言葉に呼吸を思い出したのか、少しずつ躰の力が抜けたところで指を増やした。
途端にまた躰が強張ったが男のモノを指で扱き、舌で触れることで意識を逸らさせる。

「は…ぁ…センセイ…。」
縋るモノが欲しいのか男の指がオレの髪に差し込まれた。
「ロイ…好きだ。オレを受け容れられるな?」
自分でも思わず漏れた言葉に
「ん。平気…だ。もっと…指を…。」

呼吸の仕方が変わったのか、男の躰が緩んだ。
その隙にもう一本指を増やしたが大丈夫そうだ。
そっと入れていた指をそれぞれ違う方向へ動かして解していく。
「ふ…ぁっ!」
一点に触れたとき、男の躰がまた跳ねた。
ああ、ここだよな。
こいつが感じるところは。
そうだ。オレはそれを知っている。
その一点を掠め、時折押すように触れながら男のモノを咥える。
「…っ!センセイ…も…。」
オレは答えず、男のモノを強く吸い上げた。
「…ぁあ…っ!ぅ…んっ…!」
一際甘い声をあげて男が達した。

かわいくてたまらない男を抱きしめてオレは幸福に浸っていた。
「あんたのイく時の声、甘くてすげぇいいな。」
そんな言葉に羞恥のあまり拗ねるのを知っていながらも言ってしまう。
「!…。」
予想通り声にならないようだ。
きっと顔はまた紅く染まっているんだろう。
「恥ずかしいか?でもホントだ。
 オレ、あの声がたまらなく好きだ。
 ただ感じてる声もかわいくて好きだけどな。」
男の躰が震えているのは怒っているせいか、照れているせいか。

まだ息が収まらないのに
「センセイも…感じて欲しい。」
顔をオレの胸に埋めたまま、オレのモノに手を匍わせてくる。
余裕がなくなるからして欲しくないのが1%。
もう男を見ているだけで感じてしまってるからイきたいのが残り。
はい。
勝負になりませんがな。

「ん…。口でしてくれるか?」
オレが言うより早く咥えられていた。
んっとにこいつはオレ以外ノーマルって言ってるクセにどこでこんなテクを身に付けたんだか。
企業秘密だって言ってるけど。
って、んな余裕ねぇ。
も、イきそ。
「っあ!ショ…ロイ!」
オレは男の腔中に精を吐き出した。
いつものように咳き込みながらそれを飲み下した男を抱いて、その髪を撫でながらオレ達は優しい眠りに落ちた。







『君が好きなところなら どこでもキスしてあげる』
が元歌です。



Act.15

clear
NiconicoPHP