戻る
|
リセット
Penitente
F.A.SS
-
「鋼の錬金術師」の二次創作
【基本のエドロイSS】
-
原作をベースにした、エドロイSSです。
時系列順に並んでいます。
(下に行くほど後の出来事になります。)
誰がために
- (まだロイの片想い)08.06.25up
贈
- (両想いでもお互い気付かない)08.6.26up
水の中の月
- (告白)08.6.29up
Turn R
Act.1
Act.2
Act.3
Turn E
Act.1
Act.2
Act.3
どうしようもなく不器用な男
- 08.6.29up
寂
- 08.6.30up
触
- (初めての触れ合い。大佐が咥えるのみ)08.7.1up
蝕
- (初体験)08.7.11up
Act.1
Act.2
蹟(しるし)
- (大佐から初めてのキスマーク) 08.7.16up
シチュー
- (大佐が熱を出さなくなったあたり)08.7.16up
温
- (大佐が壊れてます。ちょっとギャグ)08.7.22up
フソク
- (豆がいないと闇がぶり返す大佐)08.7.22up
摂取
- (「フソク」の続き。相変わらず闇に囚われている大佐と帰ってきた豆)
08.7.22up
Turn R
Act.1
Act.2
Turn E
Act.1
Act.2
Act.3
幕間
- (ごめんなさいなギャグ)
08.8.8up
彩
- (ヤってるときのエドVer. 「虚」と対になってます。)
08.8.8up
虚
- (ヤってるときのロイVer. 「彩」と対になってます。)
08.8.8up
慈
- (「虚」の続き。どーしようもなくグダグダなロイ)
08.8.8up
明
- (兄さんと酔ってご機嫌の大佐。未然ジェラシー)08.10.25up
嫉
- (鬼畜い兄さん♪後、ヘタレ)08.10.25up
嫉 Act.1
嫉 Act.2
嫉 Act.3
【遊 シリーズ】
-
パラレル。税務署長のロイと税理士のエド。
このSSは途中からRPG方式で、「遊」(ロイエドVer.)と「遊 脇道」(エドロイVer.)に枝分かれします。
但し、「遊 脇道」は「遊」本編と「遊 番外編」数本を包括した入れ籠構造になっておりますので、
「遊」→「遊 番外編」→「遊 脇道」の順に読まれることをお奨めします。
その順番にupして行きます。
「遊」vol.1〜vol.9
- 「遊」「遊 脇道」とも枝分かれするまで共通です。
「遊」vol.1
- 08.11.12up
「遊」vol.2
- 08.11.12up
「遊」vol.3
- 08.11.13up
「遊」vol.4
- 08.11.13up
「遊」vol.5
- 08.11.13up
「遊」vol.6
- 08.11.16up
「遊」vol.7
- 08.11.16up
「遊」vol.8
- 08.11.16up
「遊」vol.9
- 08.11.16up
「遊」 Vol.10以降(ロイエドVer.)
-
ロイエドがお嫌いな方も、これはこの後のエドロイver.がこの「遊」のロイエドバージョンを含んだものですので、お読み戴ければ幸いと存じます。
「遊」vol.10
- 08.11.19up
「遊」vol.11
- 08.11.19up
「遊」vol.12
- 08.11.19up
「遊」vol.13
- 08.11.19up
「遊」vol.14
- 08.12.7up
「遊」vol.15
- 08.12.7up
「遊」vol.16
- 08.12.7up
「遊」vol.17
- 08.12.7up
「遊」vol.18
- 08.12.7up
「遊」vol.19
- 08.12.7up
「遊」vol.20
- 08.12.7up
「遊」vol.21
- 08.12.12up
「遊」vol.22
- 08.12.12up
「遊」vol.23
- 08.12.12up
「遊」vol.24
- 08.12.12up
「遊」vol.25
- 08.12.12up
「遊」vol.26
- 08.12.12up
「遊」vol.27
- 08.12.12up
「遊」vol.28
- 08.12.12up
「遊」vol.29
- 08.12.12up
「遊」vol.30
- 08.12.12up
「遊」vol.31
- 08.12.16up
「遊」vol.32
- 08.12.16up
「遊」vol.33
- 08.12.16up
「遊」vol.34
- 08.12.16up
「遊」vol.35
- 08.12.17up
「遊」vol.36
- 08.12.17up
「遊」vol.37
- 08.12.17up
「遊」vol.38 (これで完結です)
- 08.12.17up
「幻」 (「遊」 番外編)(エドロイ)
- 08.12.17up
- (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。ロイVer.)
「惑」 (「遊」 番外編)(エドロイ)
- 08.12.17up
- (旧テレビアニメのラストから映画シャンバラのその後。エドVer.)
「遊 脇道」(エドロイVer.)
- 「遊」Vol.10以降
こちらはエドロイバージョンのうえ、ロイが精神的に壊れてしまっています。
しかも暗いです。
弱いロイが厭だという方はお読みならないで下さい。
「遊 脇道」Act.1
- 08.12.17up
「遊 脇道」Act.2
- 08.12.19up
「遊 脇道」Act.3
- 08.12.19up
「遊 脇道」Act.4
- 08.12.19up
「遊 脇道」Act.5
- 08.12.19up
「遊 脇道」Act.6
- 08.12.19up
「遊 脇道」Act.7
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.8
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.9
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.10
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.11
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.12
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.13
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.14
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.15
- 08.12.21up
「遊 脇道」Act.16
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.17
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.18
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.19
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.20
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.21
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.22
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.23
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.24
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.25
- 08.12.23up
「遊 脇道」Act.26
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.27
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.28
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.29
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.30
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.31
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.32
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.33
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.34
- 08.12.24up
「遊 脇道」Act.35
- 08.12.26up
「遊 脇道」Act.36
- 08.12.26up
「遊 脇道」Act.37
- 08.12.26up
「遊 脇道」Act.38(とりあえず完結ですが、「澱」へ続きます)
- 08.12.26up
「澱」 (「遊 脇道」完結話)
- 08.12.26up
- (「脇道」のロイVer. これで「脇道」の本編は終わりになります)
「寥」 (「遊 脇道」 番外編 エドロイ)
- 09.1.7up
- (「幻」の割愛部分)
「仕」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ)
- 09.1.7up
- (駅前相談するセンセイ)
「擦」 (「遊」番外編? エドロイ?←聞いてどうする。)
- 09.1.7up
- (新婚さんイベント♪)
「誤」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ)
- 09.1.7up
- (ある日税務調査が…)
「加」 (「遊」番外編 エドロイでもどっちでも)
- 09.1.7up
- (本編に入れ忘れた生協の小ネタ)
「罪」 (「遊 脇道」番外編)
- 09.1.7up
- (そして今2人は)
「問」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ)
- 09.1.7up
- (そして今2人はその2)
「策」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ)
- 16.12.29up
- (あの夜の男は)
「射」(「遊 脇道」番外編)
- 17.1.19up
【その他 ロイ受】
「戯」 (ブラロイ)
- 09.1.7up
- (ロイにホムンクルスと知られ、別れを告げるブラッドレイ)
「蓮」 (キンロイ)
- 09.1.7up
- (イシュヴァールにて。意外にほのぼのかと…。)
「痴」 (エドロイ)(単発)
- 09.1.7up
- (淫乱ロイの純情)
「羞」 (エドロイ前提ハボロイ)(「痴」シリーズ?)
- 09.1.7up
- (「痴」の続編。エドを愛しているロイだが、ハボに…。いや、ハボは被害者なのですが。)
↑
- 上下につながりはありません
↓
「紅」 (エドロイ)
- 09.1.7up
- (久しぶりに司令部に来た兄さん)
【単発 ロイエド】
- (焦れたロイにレイプされるエド。18禁のレイプものですんで、ご注意下さい)
「赦」 Act.1
- 09.1.7up
「赦」 Act.2
- 09.1.7up
【単発 ハボロイ】
「憂」
- 14.10.16.up
- (ロイとハボックの阿呆らしいすれ違い)
「今更」
- 09.1.7up
- (自分の想いに気付くロイ)
「蜜」
- 09.1.7up
- (恋人になった後。エロシーンばっか)
「背」
- 09.1.7up
- (ハボの背中に惹かれるロイ)
【「錯」シリーズ】
- ハボロイオンリーです。
イシュヴァールでの経験がロイに与えたものは…。
- 今はなき某数字SNSで、2007年9月から書いていたものです。
「錯」 Act.1
- 09.1.7up
「錯」 Act.2
- 09.1.7up
「錯」 Act.3
- 09.1.11up
「錯」 Act.4
- 09.1.11up
「錯」 Act.5
- 09.1.12up
「錯」 Act.6
- 09.1.16up
「錯」 Act.7
- 09.1.16up
「錯」 Act.8
- 09.1.17up
「錯」 Act.9
- 09.1.17up
「錯」 Act.10
- 09.1.18up
「錯」 Act.11
- 09.1.20up
「錯」 Act.12
- 09.1.21up
「錯」 Act.13
- 09.1.24up
「錯」 Act.14
- 09.1.27up
「錯」 Act.15
- 09.1.29up
「錯」 Act.16
- 09.2.1up
「錯」 Act.17
- 09.2.6up
「錯」 Act.18
- 09.2.12up
「錯」 Act.19
- 09.2.15up
「錯」 Act.20
- 09.2.20up
「錯」 Act.21
- 09.2.26up
「錯」 Act.22
- 09.3.9up
「錯」 Act.23
- 09.3.13up
「錯」 Act.24
- 09.3.20up
「錯」 Act.25
- 09.3.26up
「錯」 Act.26
- 09.4.7up
「錯」 Act.27
- 09.4.21up
「錯」 Act.28
- 09.5.6up
「錯」 Act.29
- 13.5.21up
「錯」 Act.30
- 13.5.22up
「錯」 Act.31
- 13.5.23up
「錯」 Act.32
- 13.5.26up
「錯」 Act.33
- 13.5.31up
「錯」 Act.34
- 13.6.2up
「錯」 Act.35
- 13.6.17up
「錯」 Act.36
- 13.6.19up
「錯」 Act.37
- 13.6.26up
「錯」 Act.38
- 13.7.11up
「錯」 Act.39
- 13.7.14up
「錯」 Act.40
- 13.7.19up
「錯」 Act.41
- 13.7.27up
「錯」 Act.42
- 13.8.13up
「錯」 Act.43
- 13.11.22up
「錯」 Act.44 (完結)
- 13.11.26up
「証」 (『錯』番外編)
- 13.12.28up
「聴」 (『錯』番外編)
- 最終話後、ツケを支払に行くロイ。
Vol.1
- 17.1.7up
Vol.2
- 17.1.7up
【瑠】シリーズ
- 【注意書きです】
これはいつものロイエドロイと、また原作とも異なるパラレルのロイエドロイSSです。
(すみません!最初間違えて『ロイエド』と書いてましたが、ロイエドロイです。)
原作またはアニメ設定以外受け容れないと言う方はお読みにならないで下さい。
最初は「人魚」のタイトルでしたが、後に「瑠」にしました。
「瑠」 Act.1
- 16.12.30up
「瑠」 Act.2
- 17.1.1up
「瑠」 Act.3
- 17.1.3up
「瑠」 Act.4
- 17.1.11up
Gift
- 頂き物など
取調室にて
-
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
give me more
-
ヒューズ×ロイ from 志乃さま
> 【遊 シリーズ】 >
「遊 脇道」(エドロイVer.)
> 「誤」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ)
「誤」 (「遊 脇道」番外編 エドロイ)
09.1.7up
(ある日税務調査が…)
今日は久々の調査だ。
調査というのは、提出した申告に間違いやインチキがないか、税務署が調べにくることだ。
オレんとこは(お客さんがオレ達にも隠していることを除き)一切のインチキをしない主義だからあまり調査を恐れたりはしない。
けど、税務署側もわざわざ人手を割いて調べに来るんだから、全く追徴(納めるのが足りないから後から請求されること。)の税額がないとムキになって細かいことまで調べたりすることもある。
(来た甲斐がないのも困るんだろうしな。)
だからオレ達はお客さんの了承を得て、ワザと一部に「税務署に見付かった場合に、もしかしたら追徴されるかも知れない。」という曖昧な会計処理をしておいたりする。(いつもじゃないが。)
まぁ、税務署の調査に対する『お土産』ってヤツだ。
調査が来なかったり、来ても指摘されなければこちらに損はないのだし。
双方の持ちつ持たれつ、穏便にってところだな。
さて、今日の調査はパスタ屋さんを営むお客さんだ。
その場で食べさせるレストランではなく、持ち帰り用の生パスタとソースを作って販売している。
小さい店ながら、学校やカフェにも卸しているので業績は仲々なのだが原材料に拘っている分、やや赤字ぎみだ。
(普通、めちゃくちゃに赤字の会社に調査は来ない。いくら課税になる処理を指摘しても、結局赤字の範囲内だとどうやっても追徴の税金が取れないからだ。まぁ、新人調査官の度胸試しで来ることもあるが、それはこちらにも気楽な仕事になる。)
その点、微妙に赤字のこのお客さんは狙われやすいと言えば狙われても無理のないところだった。
過去3年分の元帳と申告書を持って、税務署から指定された時間よりも1時間早くお客さんに行く。
(本当は30分も前に行けばいいのだが、たまにもの凄く早く来て、税理士が来る前に反則的に調べに入る調査官もいるのでその用心の為だ。)
ここはオレの担当のお客さんなので、アルは事務所で留守番している。
(アルはまだ税理士の登録をしていないので、アルが担当しているお客さんの調査の時は、オヤジに留守を頼んで2人で調査に赴く。)
お客さんと簡単な打ち合わせをして(このお客さんは気さくで正直なので、あまり口裏合わせをする必要もない。)あとはのんびり調査官を待っていた。
今思えば、あまりにのほほんと。
現れた調査官は、ハボックさんだった。
普通は2人組で調査に来るのだが、1人だけだ。小さい店だしな。
「えー、こんにちは。今日はよろしくお願いします。」
神妙に頭を下げるのがなんだかおかしい。
あのハボック少尉が。
いつも飄々として、そのクセ鋭い眼光で大佐の身を護っていた人だった。
オレが旅に出ている間も、少尉と中尉がきっと大佐を護ってくれるとオレは安心してたもんだ。
それでも内心心配だったけどな。
あの美人さんは。
本当に無茶をしてたから。
「こちらこそお願いします。」
オレとやや緊張した面持ちのお客さんが挨拶を返す。
「えーっと、こちらは禁煙ですかね?」
おいおい。いきなりかよ?少尉。
「いいえ。今灰皿をお持ちします。」
お客さんが席を立った隙に
「エルリック先生、どーも。
今日署長が疲れてるみたいですけど、昨日は激しかったんスか?」
にやり、と笑ってくる。
「や、こちらこそどーも。
そ?
ま、そりゃあいつが可愛すぎるからいけないんだよ。」
オレも笑って返す。
「御馳走様です。ほどほどにしてくれと、ホークアイ秘書官からの伝言です。」
「うっ!…了解です、とお伝え下さい。」
うはぁ。中尉、相変わらす怖ぇ…。
だって昨日は酒を飲んでほんのり紅く染まったあいつが、いつもより甘えて撓垂れ掛ってきてさー…。
「はい。どうぞ。」
「あ、すんません。」
お客さんの差し出した灰皿をハボックさん受け取った。
「いやぁ、オレ、パスタ大好きなんですよ。どうやって作るのか、後で見せて貰えますか?」
ぱらぱらと元帳をめくりながら、にこやかにお客さんにも話しかけている。
「ええ、どうぞ。」
お客さんもハボックさんののんびりした様子に緊張が解けたようだ。
オレから見ても、ここの会計にそれほど綻びは無いはずだ。
しっかり帳面もつけているし、取引が簡単な分、明白でインチキの仕様も無い。
今日はそれほど実りのある調査にはならないと思うんだけどな。
ハボックさんと言えば…(税務署員名簿を思い浮かべてみる。)確か統括官だよな?
一般の会社で言えば、役員クラスか?
こんな小さい調査にわざわざ1人で来るような立場でもないと思うが。
っていうか、よく考えると税務署署長のあいつの秘書官がホークアイ中尉。
で、法人課税部門の統括官がブレダ少尉とファルマン准尉。
個人課税部門の統括官がハボック少尉とフュリー曹長。
全部門には勿論足りないけれど、主立った部門のトップはあいつのかつての腹心の部下達。
なんなのよ?
この過保護な人員配置。
これって、やっぱオレの為だよな?
一時間が過ぎた頃だろうか。
やはりめぼしい追徴の様子もないままに、
「さて、ではパスタとそのソースを作るところを見学させて貰えますか?
これが楽しみで今日来たんスよ。」
やけに楽しそうな表情で言う。
もしかしたら、本当にパスタ作りが見たくてこの調査に来たのか?
子供の社会見学かっつーの。
でも、それなら1人で来た理由も解る。
「へえ。パスタって、粉と塩だけなんスか?」
「卵を入れるパスタもあるんですよ。」
なごやかにパスタの製造過程を見ている。
「ソースはどこからか仕入れるんですか?」
「いいえ。うちは全部手作りで、こうしてパック詰めするんです。」
やっぱ子供の工場見学みたいだ。
パスタを粉から作る過程とソースのパック詰めまでを見た後でまた事務所に戻ってきた。
「やー、今日は収穫でした。オレ、ずっとパスタを作るところがみたかったんスよ。」
楽しそうだな。少尉。
「で、ですね。エルリック先生。」
「はい?」
「製造過程を見せて戴いて解ったんですが。」
「はい。」
「こちらは、製造業ですよね?」
……………………あっ!
「ああっ!そうです!そうでした!!」
ヤヴァイ!
そうだ。
ここは製造業(消費税で言う『第3種』事業)だ。
オレ、こないだの消費税の申告、間違ってんじゃん!
うわ。
お客さんに、個人のお客さんに売る小売業(消費税の『第2種』)と学校やカフェに売る卸売業(消費税の『第1種』)の割合を知りたいからと言われて、科目を小売りと卸売りに分けて売上を計上してたんだ。
そのせいで、うっかり消費税の計算も第1種と第2種で計算してたよ!
どこに売ろうと製造業であることに変わりは無いんだから、ここは全部第3種じゃんか!
消費税法上、第3種の方が第1種、第2種よりも税額が高い。
んで、オレは間違った(第1種、第2種の)少ない税額で申告してたんだ。
「あー。すんません。間違えました。」
逃げようもなく項垂れたオレに
「そうですよね? 今回の申告が第1種と第2種だったんで、どうなのかなぁと思ってたんスよ。」
なぜかホッとした様子でハボックさんが言う。
「あのー。」
「はい?」
「修正申告でいいですか?」
「構いませんよ。では、いつ頃戴けますかね?」
「えー、今週中にはお届けします。」
あー。全部オレのせいじゃん。
この調査も、ハナっからこの消費税の申告間違いの為のものだったんだ。
どーりで、元帳なんかぱらぱらめくってるだけのハズだ。
「すみません。オレの手違いでした。」
もう正直に言うしかない。
「仕方がありませんよ。払うべき税金が来るだけですから。
気を落とさないで、ウチの自慢のパスタとソースをお持ち下さいね。」
笑って言って下さったお客さんに申し訳ない。
最初から間違って無ければ払わなくて済む延滞税が掛かるんだから。
がっくりと肩を落として事務所に戻ったオレは、仕方なくアルに全貌を話した。
「まぁしょうがないよね。この元帳を見ると間違えたくもなるよ。
……ぷぷっ。」
あーあーあー。
すみませんねっっ!
オレが悪いんですよ!
全部。
こんなうっかりしたことは、この仕事を始めて初めてだ。
落ち込んでいると、事務所のインターフォンが鳴った。
「はい。ああ、どうぞ。」
アルに促されて入ってきたのはハボックさんだった。
「よ。エルリック先生。」
「あー、本日はご足労戴き…。」
すっかりやさぐれてしまった態度を隠せない。
「ははは。ま、よくあることっスよ。」
いや、ないだろう?
更にやさぐれた視線を送ったオレに
「消費税の間違いはめずらしくないんですって。」
にこやかに笑って言いやがる。
「でね、エルリック先生。モノは相談なんですが。」
「は?」
どうしたってんだ?
お客さんの追徴は誤魔化しようがねぇぞ?
「このこと、署長に黙っていて欲しいっスか?」
………は?
ああ、忘れてた。
ハボックさんの上官つか、セントラル税務署のトップはあの男だ。
しかし、税務署長が全部の調査報告書に目を通すものか?
オレの疑問が顔に出ていたのか
「署長はエルリック先生の事務所の調査報告書には子細に目を通すんですよね。」
ああ…そうかも知れない。あの男なら。
「黙っていることなんて出来るのか?」
伺うようになってしまったのは仕方がないだろう?
「修正申告までご覧になる訳じゃないですから、調査報告書は誤魔化せますけど?」
アルはともかく、この上あいつにまで間違いを笑われるのはイヤだ。
まして、昨日の晩、あまりにあいつが可愛いから沢山啼かせようしてたら、逆に煽られすぎてオレの方が早く果てちまったんだ。
今日はそのリベンジをしようと思ってたのに。
(ごめんなさい!ホークアイさん!疲れさせ過ぎないようにしますから、殺さないで下さい!)
「ご…誤魔化して下さい…。」
せめて今晩啼かせ終わるまででも!
「了解ッス」
上機嫌なハボックさんが事務所を去ろうとした。
「あっ!少尉…じゃなかった、ハボックさん!」
オレは思わず声を掛けた。
「はい?」
「…や。あの…お願いシマス。」
玄関まで見送って声がアルに届かなくなった頃、ハボックさんがオレに囁いた。
「大将、オレが死ぬまで少尉だったと思うなよ?」
髪をがしがしと撫でられた。
驚いて見上げると、にっこりと笑って
「じゃあな。大将。」
言うなりドアを開けて消えていった。
少尉…あんたも覚えてるのか?
そうか。
覚えてるんだ。
そんで、あいつを今も護ってくれてるんだ。
オレは泣きたいくらい嬉しくなった。
「おかえり。エドワード。」
仕事が忙しくないこの頃は、男が先に帰ってオレを迎えてくれる。
『おかえり』が言いたいんだそうだ。
「ただいま。ロイ。」
そんなトコも可愛いよなー♪
「ん…」
お帰りのキスを交わした後に
「そういえば、ハボックが今日…」
「なぁっ!?…あんだって?」
慌てたオレに驚いてしまったようだ。
「ああ…ハボックが今日は君がパスタを御馳走するから家に来るように言ったと言っていたが、本当なのか?」
御馳走するんですか。
そうですか。
それも口止め料ですか?
「ああ…。言った…。ハボックさんも一緒に夕食はどうかってな。
あんたはイヤか?」
「そうなのか。いや、私は構わないが。
…いつハボックに逢ったんだね?センセイ?」
おや?そんな小さい嫉妬をするところも可愛いぞ?
しかしオレに今、からかう余裕があんま無いのは残念だ。
「今日…調査で…。詳しいことは調査報告書を見てくれよ。」
「ああ、君のところの調査は今日だったな。」
納得…してくれた?
あああああ。自分の未熟さが憎いじぇえ!
ごめん。嘘付いて。
でも、愛してるのはあんたなんだ。
あんただけなんだ。
今晩、めいっぱい可愛がるからさ。
今日、挙動不審なオレを許してくれよ。
もちょっとオレの傷にならないようになったらさ、ちゃんと言うから。
ごめんなさい。
いろんな方向に。
ごめんなさい。
fine
ごめんなさいです。death。
お客さま。
私の手違いでございました。
そんな調査をネタに書きました。
clear
このページの先頭へ
|
戻る
|
リセット
|
全表示
|
前へ
|
次へ
|
小説の管理