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ho mai dimenticato le memorie dei giornati stata con te





香さんの一周忌の日に、
リョウは私の前に姿を見せることは無かった。
墓前に花をたむけ、
共に眠る槇村と香さんに向かって燻らせた線香が
紫煙となり、天に昇っていくのを見つめ、
それらが全て灰になるまで、
私はそこから立ち去ることが出来なかった。
あの日、リョウは立ちすくむ私の背をどこかで見ていたのだろうか?
それから1ヶ月と経たない間に起こる、
激動の日々を予感していたのだろうか?




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「なー、冴子ぉ、いいじゃん、
 パパとムスメが一緒のベッドに眠ったってさーぁ」


「あんたはっ!あんたはっ!男親としての自覚が無さ過ぎるっ!
 ばかもんっ!もう少し考えろっ!」



Cat's Eyeで、周りが止めるのも聞かず、
とりあえず鉄拳とハイヒールの踵を、急所に落とし
リョウをぼっこぼこにした後、
(ハンマーがあればいいのに…一個貰っておけば良かった…)と
しみじみ香さんの苦労を思い浮かべた。

 
15歳の、特化した教育のみを受け成長した少女。


自分の所轄区域を戦場にした
少女と組織の後始末の苛酷さに、ほとんど睡眠が取れなかった。
それでもまだ山積する手続きと報告書類。
彼女と冴羽の痕跡を消すために、どれほど私が努力するかを
本当のところ、分かってもらえているのかしら?


心配でしょうがない。
この事件のみならず、新宿には平穏という言葉は見当たらない。
こればかりに神経を割いているわけにはいかないのに、
彼らのところに足が向いてしまう。


引き取り手を探すにしても不可能だろう。
更正院に入所させるにしても、事由が見当たらず、
彼女自身の国籍すらどこに所在しているのか不明だ。


香さんの心臓を移植された、という前提が無くても
この子はこのままでは路頭に迷ってしまう。


ましてや、この1年のリョウの姿を間近に見てきた私にとって
彼が既に決めてしまった引き取りに
口先だけで反対を唱えても
心のどこかでは「これでまた彼が生きてくれる」と
安堵を覚えてしまう。


それに…



何故だか、槇村がリョウを突然連れて来た時のことを思い出す。


国家権力に護られた私たちの越権行為は、絶対に許されることが無い。
槇村の意思は権力に頼らないものになり、
その変化によって、彼が身体に受ける
暴力の凄まじさを目の当たりにする私にとっても、
いつか彼を失うことに繋がる不安は、
香さんの抱くそれと同様だったと思う。

 
そんな時、正体不明の男が現れた。

「こいつと、シティハンターをやっていくことにするから」

はっきりと私に伝えた言葉には
2つの事実が混じっていた。


槇村が、巷でひそかに囁かれていた始末屋として
シティハンターとコードネームを名乗って居た男だったということ。

警官としての逸脱行為を、
これからも正義感の名の下に続けていくということ。


槇村の直情と、この男の過去はどうクロスするのか?
詮索を許さない強いまなざしと、
何を言われても変えることは無い、と
一言も発しないのにビシリと伝わる微かな微笑み。


私の正論など一切通用しない、
私の不安を物ともしない、槇村のその笑顔。頑固だったわね。



あのときの微笑みを、今、隣にいる男が浮かべている。

槇村の残像をリョウに見たことは、これが初めてかもしれない。
何かを決めた、と彼らが周囲に伝えるとき、
それを翻す術を私は持たない。
そんな男たちだったと改めて思い返す。


その顔を見た瞬間、
これは定められた運命なのかもしれないと
私は腹をくくるような気持ちで、少女を見つめた。
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